好きな人の心を動かす涙と苛立たせる涙
ある女性の、お話をしてみましょう。
彼女もなぜきれいでやさしい彼女に恋人ができないのかで述べた
「支配欲求」 の強い女性です。
ただし彼女の場合は、言葉で彼に指図したりすることはありません。
彼の生活態度にいちいち口を出すことはありません。
それでは、どうやって、彼を支配しようとするのでしょうか。
それは 「泣く」 ということなのです。
もちろん女性の流す涙は、男性を感動させます。
「女性の涙は、そのほほえみよりも美しい」 と述べた作家がいますが、
確かに涙は、女性のもっとも美しい魅力のひとつでしょう。
しかし、その涙の裏に、「彼を支配したい」 という気持ちが隠れていると、
やはり男性には 「わずらわしい」 としか思えなくなるのです。
彼女は、とにかく自分の思い通りにならないことが起こると、すぐに泣いてしまうのです。
彼が、「明日は遅くまで残業しなければならないんだ。
だからデートする時間がないんだよ。ごめんね」 などと言えば、
彼女はシクシク泣き始めてしまいます。
週末には必ずデートしてくれないと、泣き出します。
ほしいプレゼントを買ってもらえないと、泣き出します。
何日間も連絡がないと、泣いて電話をかけてきます。
彼女の涙を見ると、ついかわいそうになって、最初のうちは彼もムリをして
彼女の意向に従っていたのですが、だんだん 「もう勘弁してくれよ」 という
気持ちになってしまいました。
「結婚してくれなければ、わたし、死んじゃう」 と言って、
さんざん泣かれたのだそうですが、結局彼は彼女と別れてしまいました。
「ああいう女性とは、やっていけませんよ」 と、彼は言っていました。
まるで、わがままな子供です。
彼の都合など、まったく考慮にないのです。
彼女の場合、本当に悲しくて泣いているわけではありません。
「女性の涙」 という武器を使って、彼を操ろうとしているだけだったのです。
これでは彼も、「やっていけない」 という気持ちになって当然でしょう。
心理学に 「退行現象」 という言葉があります。
「退行現象」 とは、精神的に子供の頃に帰ってしまうという現象です。
自分の意思が通らないときにすぐに泣き出すという行為も、この 「退行現象」 の表れでしょう。
子供の頃、泣けば自分の思い通りになったという記憶が鮮明に残っていて、
大人になってまで、その方法を繰り返すのです。
精神的に、まだ未熟なままなのですね。
ちなみに大人になっても、子供のような、人に甘えたような話し方をする人がいますね。
女性ばかりでなく、男性にもいます。
職場で上司から名前を呼ばれたときに、「はい」 と答えられず、「うん」 などと言ってしまう。
あれも 「退行現象」 のひとつです。
このように精神的に未熟な人たちは、大人の恋愛ができません。
大人の恋愛とは、お互いが自立した人間同士として、信頼し合って愛をはぐくむ関係です。
しかし未熟な人の愛は、一方的に甘える愛、一方的に相手に寄りかかろうとする愛なのです。
お互いに自立した関係ではないのです。
こういう愛は遅かれ早かれ終わってしまいます。
「永遠の愛」 ではないのです。
もちろん、女性がたまに流す涙、思いがけない涙、そういった涙を見て
男性は 「かわいい」 と心をふるわせたりもします。
しかし、女性の涙も、いつもいつも、しょっちゅうでは、男性に感動を与えなくなってしまうのです。
ですので、涙の価値を高めたいと思うのでしたら、「たまに泣く」 のがいいのです。
◆まとめ
自分の思いを強引に通すための涙は、彼からは敬遠される。
わがままな女性だとしか感じられないからだ。