わだかまりの根は深い
これまで見てきたように、愛情は過去の不安定な感情を甦らせます。
でも、望んでいることを叶えてくれることもあります。
これは何年も前に僕が聞いたお話です。
彼はある晩、彼女とベッドを共にしたくなって、彼女を誘いかけました。
でも、彼女はそんなムードではありません。
彼はその日はしかたなく、すぐにあきらめました。
次の日も、その次の日も彼は再びほのめかしてみたのですが
彼女は一向に 「うん」 と言ってくれません。
結局、2週間ほど経っても彼女の気持ちは変わらなさそうでした。
彼はイライラした気分を抑え込みながらも、彼女を喜ばせたりする努力をしましたが
心の中では彼女の拒絶に対してイライラしっぱなしでした。
2週間後、彼は彼女のためにナイトガウンをプレゼントしました。
彼は着てみるように彼女に薦めるけれど、
「いまはそんなムードじゃないわ」
と一蹴されてしまうんです。
この時点で彼は完全にあきらめました。
自分の欲求不満を抑えて、イライラもこらえて
それでもいいと自分を納得させようと仕事に没頭しました。
更に2週間が経ったある日…。
彼が家に帰ると、彼女はロマンチックな夕食を用意して、室内の照明も暗くしていて
彼が2週間前にプレゼントしたナイトガウンを身につけていたんです。
すると、彼の中に大きな怒りの波が押し寄せてきました。
心の中で 「4週間も、もったいぶりやがって!」 と叫びました。
彼の4週間の抑圧したイライラが一気に甦ってきたんです。
二人はこの感情についてよく話し合いました。
すると、彼女がどれほど彼を愛しているかあらためて気付くことができて
長い間わだかまっていたイライラした気持ちも癒すことができるようになったのです。
このお話のようなパターンは僕たちの身の回りでもよくあることです。
相手が最終的に頑固な態度を変える時、とつぜん溜まっていた怒りが爆発するんです。
ほら、あなたも経験したことありませんか?
たとえば前から旅行に行きたくて、予約しようとしていたけれど
めんどくさそうにはぐらかされたり、都合を合わせようとしてくれなくて行けなかった。
そんなとき、急に向こうから積極的に 「行こう」 と言われると
今度は逆にそんな気分にならなかったり、ついていけない…という気分になってしまったり。
旅行じゃなくても、遊びに行くでも、何かの計画とかでも同じで
最初に拒絶され続けていたことが、急に受け入れられると反動が出るんですね。
人は誰しも様々な感情を持ち合わせて、それをコントロールしながら生きています。
そこには素直に表現できない感情も当然出てきてしまいます。
抑圧し続けた怒りや悲しみが溜まりすぎると、それが許されるとき
いままでの恨みとばかりに、つい冷淡な態度になってしまいます。
でも、人の心は癒すこともできます。
それにはお互いの感情を理解しあうことが大切です。
もし、あなたにも突然、感情の爆発が起こってしまったとしたら…。
そんなときは少しずつでもかまいません。
相手と自分の感情について話し合ってみてください。
彼や彼女は最初からあなたを苦しめよう、怒らせようとしているわけではないはず。
ただ、そこにお互いの考えや感情の違いがあるだけなんです。
自分の言い分と相手の言い分、どちらも素直に言って聞いてあげてください。
二人が互いに理解し合えば、これほど心癒されることはないんですから…。
◆まとめ
拒絶され続けたり抑圧し続けた感情は、それが許された瞬間感情があふれ出す。
素直に心情を話し合うことで、理解し溜まった怒りも癒すことができる。